事例紹介

家電、その他

Cafe au CANopen

Cafe au CANopen

1.概要
プロ仕様、一般、議会など向けのWMF社による次世代高パフォーマンスのコーヒー・マシン(図1参照)には、われわれが家で使用しているハンディのコーヒー・メーカとはまったく異なります。それは複雑ですが、ボイラ、バルブ、ホース、ケーブル、粉砕機の整然とした集合体です。2基のinfineon社の16ビット・マイクロコントローラで制御され、ローストしたコーヒー豆からクリーミーで湯気の香るコーヒーを作るまでにほんの20秒しかかかりません。

図2はプロセスの概要を表しています。豆は挽かれた後ボイラ・チャンバに落ちます。そこでは、お湯が圧力をかけられています。チャンバからコーヒーが高圧ノズルを通って、ミルク、クリーム、お湯、冷水、蒸気などがミックスされるアウトフロー・チャンバ(抽出チャンバ)に移動します。残留する粉はプレス、乾燥され、引き出しにためられます。それぞれの処理で平均6つのパラメータがあり、コーヒー・マシン製品には全体40の異なるパラメータが集まってできています。



2.インプリメント
コミュニケーション構成は、分散型I/Oアーキテクチャに従っています。装置のフロント・パネルにつけられている、いわゆるST-5ノードは、メイン・コントローラとして使用され、プロセスとユーザ・インタフェースを制御します。後部にあるLSTノードは、異なるセンサからのすべての入力信号を処理し、グラインド・モータ、ウォータ・ヒータ、バルブといったアクチュエータに出力信号を供給します。装置の個々のアクチュエータは、ST5制御ユニットのオブジェクト・ディクショナリで定義されています。そのすべてパラメータは、シンプルなSDOコミュニケーションを使用して、コーヒー・マシンの設定、調整をすべて行います。ST5制御ユニットは、たとえばグラインダの測量パラメータなどを把握し、自動的にコーヒー・パウダーの量を正しい量につねに訂正します。これはWMF者の長年に及ぶコーヒー・マシンの経験によるものです。

300のメイン・オブジェクトと、2000のサブ・オブジェクトをもつST5ユニットのオブジェクト・ディクショナリは、IXXAT社が手がけたCANOpenのインプリメントとしては最大規模のもののひとつでしたが、PDOを使ったプロセス・コミュニケーションは比較的シンプルです。ST5とLSTユニット間のコミュニケーションには、わずかなプロセス・データ・ユニット(PDO)が使われました:双方向の2つの標準PDOと、双方向のマルチプレックスPDO(MPDO)です。
ビットマッピングがサポートされているので、すべてのディジタル入力は、ひとつのPDOで同時に送信されることが可能です。MPDO(図3)を使うことで、一つのCAN識別子だけで、それぞれのオブジェクト・ディクショナリ・エントリにアクセスすることが可能です。したがって、MPDOのアクセスするオブジェクト・エントリのデータ・フィールド・インデックスとサブ・インデックスの最初の数倍とが定義されています。

装置は、ネットワークの拡張を簡単に行えるように外部CANコントローラを使用しています。顧客は、広い範囲に及ぶ外部デバイスを選択することができます。たとえば、ココア、ミルク/砂糖ディスペンサ、コーヒー用ホットプレートやコインボックスです。これらはすべてCANOpenに基づきます。さらにプラグ&プレイ操作が可能です。将来、支払いシステムの接続することが計画されています。 しかしながら、コーヒー・マシンでのCANOpenの使用で最も興味深いもののひとつは設定、サービス、装置組み立て作業を標準化して提供していることです。外部CANコネクタを使って、サービス・エンジニアは、顧客のレシピ、製品カウンタ、エラー・メモリなどを読み取ることができます。開発エンジニアは、標準CANOpenデバイスを試験、シミュレーション目的で、装置のバスに挿入することができます。最終組み立て段階では、ファームウェアは、オブジェクト・ディクショナリ・エントリへの“ダウンロードSPOセグメント”プロトコルを使ってノードによって書き込まれます。同じ手順を使って、サービス技術者は装置のファームウェアのアップデートをラップトップPCで数分で行えます。より簡単な移動のために、シリアルRS232接続プロトコル経由のSDOメッセージの“トンネル”が可能です。
IXXAT社は“CANOpen Configuration Studio”をベースにしてソフトウェア・ツールの全セットを開発しました。これは、新世代コーヒー・マシンのサービス、アセンブリ、テストのすべてのレンジをカバーしています。このWin32ツール・セットは、製品コンフィグレーション用アプリケーション、マシン部品の設定用アプリケーション、ファームウェアのローディング、試験用の最終フレームワークから構成されます。製品コンフィグレーション・プログラムは、多数のパラメータ調整を簡単にすることで、明確な方法で異なるコーヒー専門のレシピを表示します。またそれらのレシピをフロント・パネルにある製品ボタンに割り当てています(図4)。装置のアウトフィット・プログラムを使って、製作者は、個々の装置のパーツ番号と定義して、オブジェクト・ディクショナリの保護された部分にあるシリアル番号とともにストアします。最後に忘れてはならないものは、開発、実験、長期試験用のオープンなフレームワークを提供するテスト・アプリケーションがあることです。このフレームワークにはSDOアクセスとログ収集用にCOMインタフェースをサポートしているので、シングル・テストは、スタンドアロンで実行可能なC++、Visual Basic、Delphi, Java、またはWindowsスクリプトで実行可能です。ユーザはシングル・テストを選択したり、それらをグループ化するポイント&クリック・インタフェースを使ってフレームワークにテスト・シーケンスを記述することができます。シングル・テストやループ・グループを繰り返すことも可能です。テスト・シーケンスを実行すると、フレームワークは外部のシングル・テストを次々と呼び出し、ログ、出力メッセージと結果などすべてをコンマをデリミタとしたASCIIプロトコルにストアします。このツールのセットより、製造メーカのITインフラへの製品の統合が簡単に行えます。将来、このことは、各装置の遠隔のサービス、故障診断と追跡を可能にします。

3.あとがき
みなさんが、好みのカフェで、いつもちょっとしたデザートともに楽しむために注文している特別のコーヒーがCANOpenで作られるなんて信じられますか?
次の機会にちょっと見てみませんか?あなたの“Latte macchiato”がCANOpen機能が統合されたハイテク・コーヒー・マシンで注がれているのかもしれません。
4.ご紹介した製品
CANopen protocol Software
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組み込み用プロトコル・スタック・ソフトウェア

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